ヨーロッパ出張で感じたこと

2023年12月10日から17日までムーンショットプロジェクトの用務としてオランダ、ベルギー、ドイツに出張しました。メインのイベントは、13日にベルギーブリュッセルで開催された5th Waseda Brussels Conferenceでの研究発表でした。当日はドイツやフランスからも参加がありました。

こちらがカンファレンスの記事になります:https://www.waseda.jp/inst/brussels-office/news-en/2023/11/23/862/

今回のカンファレンスではGlobal Sustainable Food Supplyがテーマです。このテーマに関連した幅広い分野の研究者の発表を聞くことができ、大変勉強になりました。特にSoy in 1000 gardensというプロジェクトでは、市民科学的アプローチが実施されており、学術研究としての成果はもちろん、大豆の知識や研究の進捗を発信していることには大変感銘を受けました。

Soy in 1000 gardens:https://sojain1000tuinen.sites.vib.be/en

またパネルディスカッションでは国際共同研究や分野横断的な研究プロジェクトはどう進めると良いか、社会実装までどう繋げていくかなどを中心に議論し、またヨーロッパの農業事情についても知ることができたので、とても有意義でした。

ムーンショットプロジェクトでご一緒している理研CSRSの松井南先生(中央)と
今回のヨーロッパ出張全日程に同行していただいた理研欧州事務所の市岡所長(右)

農業デジタルツイン開発について発表しました。

Soy in 1000 gardensを進めるSofie Goormachtig先生とお話しました。
 

カンファレンスの前後に関連分野の大学研究機関にも訪問させていただきました。訪問先は、オランダのWageningen University & ResearchとRadbound Unversity、ドイツのMax Planck Institute of Molecular Plant Physiologyになります。

お互いの研究プロジェクトについて意見交換する中で自分たちが進める研究の国際的な位置付けについてじっくり考えることができました。特に印象的だったのが、意見交換したいずれの組織でも、自身の強みと弱みをしっかり把握した上で、強みを活かす戦略を全面的に押し出しておりました。例えば、Wageningen University & Researchは食と農業に特化して、スタッフは7,600人います。理研が自然科学の総合研究所でスタッフが3,300人、日本で食と農業の研究機関である農研機構でスタッフが3,300人であり、オランダは日本の1/8の人口だと考えると、すごく潔いと思います。事実、Wageningen University & Researchの当該分野での国際的な優位性を考えると、非常にうまく行っていると感じました。またヨーロッパの大学研究機関の建築はサイエンスとアートがうまく融合されており、つい見惚れてしまいました。

Wageningen University & Researchの構内では芸術作品が至る所に飾られております。

Wageningen University & Researchの研究者とランチをご一緒しながらじっくり意見交換しました。

ageningen University & Researchの最先端温室施設を見学させていただきました。

Radbound Unversityの様子

Radbound UnversityのX線自由電子レーザー施設を見学させていただきました。

Max Planck Institute of Molecular Plant Physiologyの
菌根菌研究で有名なCaroline Gutjahrさんと意見交換しました。

Max Planck Institute of Molecular Plant Physiologyに在籍する
日本人研究者の方ともお会いでき、施設を見学させていただきました。

 

今回、理研欧州事務所の市岡所長が全日程をアレンジしていただき、現地でも同行いただき、大変贅沢な機会になりました。おかげさまで、研究についてはもちろん、今後私自身の人生について様々な角度から考える契機となりました。

最終日の夜はドイツポツダムのクリスマスマーケットに立ち寄ることができ、
ヨーロッパのクリスマスを感じることができました。

チームリーダー
市橋 泰範
Yasunori Ichihashi

農業デジタルツインによるグリーントランスフォーメーションについてアグリバイオ誌2024年1月号に掲載されました

新年明けましておめでとうございます。

2024年1月4日に出版されたアグリバイオ最新号の特集の一つに、私たちの研究活動についてまとめた総説論文が掲載されました。農業分野でのグリーントランスフォーメーション(通称、GX)が期待されるなかで、土壌の炭素貯留ポテンシャルを最大限に引き出す「カーボンファーミング」という農業の考え方に注目が集まっています。私たちはマルチオミクス解析という技術を用いてカーボンファーミングの土台となっている農業生態系システムをマルチオミクスデータから解明する研究を行っております。さらに、農業生態系のダイナミクスに基づいた作物の生育予測などを実現するために、農業デジタルツインという予測システムの開発を行っています。このシステム開発では演繹的なプロセスベースモデルと帰納的な機械学習モデルという2つのアプローチの融合を通じて、有用なモデルの構築と社会実装を目指しています。

アグリバイオ 2024年1月号はこちら:
http://hokuryukan-ns.co.jp/cms/books/アグリバイオ%E3%80%802024年1月号%E3%80%80微生物共生系のデータ/

2024年、多くの関係者への感謝とともに、日々の研究開発に邁進したいと思います。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

チームリーダー
市橋 泰範
Yasunori Ichihashi

高校生が見学に来てくれました

我々バイオリソース研究センターでは、不定期に中・高校生の見学を受け付けています。
11月24日には、当センターを訪れてくれた生徒たちに、私たちのチームの研究内容を紹介しました。
その日はチームリーダーが研究の概要を説明し、藤原さんが実際に野外で採取した植物の根の染色と菌根菌の観察を行いました。
また、矢部さんはDropletの技術について説明しました。
私たちの研究を知っていただくことを通じて、将来科学者を志す若者が増えることを願っています。

見学案内はこちら:
https://tsukuba.riken.jp/experience/application/

アシスタント
南部 真夕
Mayu Nanbu

おとなのためのサイエンス講座を開催しました

11月9日、おとなのためのサイエンス講座「未来を拓くライフサイエンスのテクノロジー」「第4回 植物と共生する微生物をみよう」を本チームのメンバーで講師を担当しました。

身近な植物とともに生きる共生微生物について紹介し、農業やSDGsへの活用について考える時間を設けました。また実習として、理研BRCで栽培した植物や野外からの採取した植物を対象に、共生微生物を染色して、顕微鏡で観察しました。受講者の方からは「普段は入ることが出来ない理化学研究所で実験などができ、とてもいい経験になりました。」という有難いお言葉をいただきました。

また私たちにとっても普段研究している内容から、研究者以外の方にも伝わるように工夫する過程で多くを学ぶ貴重な機会となりました。

おとなのためのサイエンス講座について:
https://www.expocenter.or.jp/delivary/detail/id=1609

チームリーダー
市橋 泰範
Yasunori Ichihashi

2023年度理研ハッカソンが開催されます

10月24-27日に理化学研究所神戸キャンパスにて、念願のオンサイトで、2023年度理研ハッカソンが開催されます。
本チームが進めるMSプロジェクトメンバーとともに理研ハッカソンの農学セッションを開催する予定です。事前公開シンポジウムではデータ利活用・応用事例紹介として市橋チームリーダーが講演をします。ハッカソンではこれまで取得した土壌生物性データを使って論文化を目指したデータ解析を進めたいと思います。もしハッカソンに参加したい方は下記のサイトからの事前登録に加えて、私までご一報ください。

理研ハッカソンについて:https://www.riken.jp/pr/events/symposia/20231024_1/index.html

チームリーダー
市橋 泰範
Yasunori Ichihashi

矢部開発研究員がセンター内カンファレンスで受賞されました!

10月3日に理研バイオリソース研究センターで若手BRCカンファレンス(WBC)が開催されました。本チームの矢部開発研究員が前職での研究成果を中心に今後の研究展開を含めて発表し、小幡特別賞を受賞していただきました。植物微生物共生における新しい展開が期待されております。おめでとうございます!!

チームリーダー
市橋 泰範
Yasunori Ichihashi

本チームが進めるプロジェクトの研究成果が受賞されました!

本チームが進める内閣府ムーンショットプロジェクトの研究成果について、北海道大学農学院作物栄養研究室の村島和基さんを筆頭に植物の栄養研究会と植物の栄養研究会で発表し、ポスター賞を受賞していただきました。農学xマルチオミクスxデータ解析で新しい発見が生まれております。村島さんをはじめ多くの方々の努力の賜物です。おめでとうございます!!

植物の栄養研究会 第8回研究交流会 最優秀ポスター賞
植物の栄養研究会2023年度愛媛大会 若手ポスター発表優秀賞

チームリーダー
市橋 泰範
Yasunori Ichihashi

筑波会議2023のセッションをオーガナイズします

筑波会議2023のセッション「野外環境における植物-微生物-土壌の相互作用の統合的理解」を大熊基礎科学特別研究員と市橋チームリーダーで企画しております。

本セッションでは植物科学、微生物学、土壌科学、データサイエンスなど異なる研究分野からの優秀な若手研究者を招待します。

招待する若手研究者の研究を共有してもらいながら、植物-微生物-土壌相互作用の理解を目指した議論をしたいと思っておりますので、ぜひ積極的なご参加をお待ちしております。

筑波会議website:https://tsukuba-conference.com

セッション情報:https://tsukuba-conference.com/sessions/c08

チームリーダー
市橋 泰範
Yasunori Ichihashi

理研BRCに在籍する学生さんの集まりがありました

今回初めて、BRC student gatheringが開催されました。
本チームからは大学院リサーチ・アソシエイトの藤原さんが参加しました。
13名のうち半数は国外の方のため国際的な集いとなり、他個紹介などを通して親睦を深めました。
理研は研究機関であり、大学と違って、なかなか若い方との交流が少ないので、とても新鮮な雰囲気でした。
若い方にとって、BRCが活躍の場となることを願っております!

チームリーダー
市橋 泰範
Yasunori Ichihashi

子供たちへ、次の世代の人々へ

チーム設立から5年が経ちました。

チーム立ち上げ時に活躍してくれた熊石さんをはじめ、初期のチームメンバーのほとんどが入れ替わりました。共同研究で数週間滞在された方や見学で訪問していただいた方も含めると、とても多くの方とご縁を持つことができました。その過程で中学生〜大学院生の若い方達とも交流させていただきました。また私自身も子供が増えて5人家族になり、時の流れを感じるとともに、これまでご縁のあった方との巡り合わせに感謝する日々を過ごしております。

そんな感謝の日々のなか、次の世代を担う方に何かできないだろうかと思うようになりました。そこで、大変おこがましいことだと認識しているものの、現時点での私から次の世代に伝えたい気持ちを言葉にしてみました。また勢いに任せて書いたため、誤字脱字乱文ではありますが、このメッセージが必要な人の元へ届くことを願っております。

チームリーダー
市橋 泰範
Yasunori Ichihashi