植物の根の周りにある「声」について考えてみた。Plant & Cell Physiology雑誌に総説論文が掲載されました

ストリゴラクトンは、植物ホルモンの中で最も新しく発見された物質です。ストリゴラクトンは、30種類以上の異なる分子に総称で、それぞれの分子がピコ〜ナノモル濃度といった極低濃度で異なる機能を示していることがわかってきました。特に私たちが興味を持っている植物と微生物の共生関係においても、ストリゴラクトンが重要な働きをしていることが明らかにされています。
今回、7年ほど前に寄生植物の研究を一緒にしていた研究者とともに、ストリゴラクトンの根圏シグナル分子としての役割について最近の研究をまとめる機会を頂きました。私は、ストリゴラクトンが根圏微生物叢に与える影響について最近の知見をまとめました。
私たち人類が複数の異なる言語を使いながら他者とコミュニケーションしているのと同様に、植物の根の周りでも異なる生物(細胞)同士が少しずつ異なるストリゴラクトンという分子を介してコミュニケーションをとり、それぞれの生存戦略を図っている様子を窺い知ることができます。今回の論文執筆を通して、植物と微生物で構成された一見雑多な集団にみられるファジーな秩序について色々と考えさせられました。
ご興味のある方はぜひ読んでみてください。

総説論文はこちら:
https://academic.oup.com/pcp/advance-article/doi/10.1093/pcp/pcad055/7190141?login=false

チームリーダー
市橋 泰範
Yasunori Ichihashi