アグロバクテリウムを使った植物形質転換技術は、学術研究から応用研究までよく利用されています。本研究ではヒトの非ステロイド性抗炎症薬であるテノキシカムが植物の免疫システムを阻害することで、植物の形質転換効率を向上する作用を示すことを発見しました。モデル植物シロイヌナズナ及びバイオ燃料の原料であるジャトロファにおいて、テノキシカムにより一過的形質転換効率の向上が確認できました。テノキシカム処理は簡易で安価な方法であり、本研究で試験した以外の植物種への利用も期待されます。
本研究成果は、10研究室の共同研究の賜物です。私が関わった研究の中で最も長期間費やした研究であり、着想から6年以上経って、ようやく世に出すことができました。研究内容は非常にシンプルなものの、この背景で生じた様々な経験により研究者として大きく成長させていただきました。共同研究者の皆様にはこの場を借りて深く感謝申し上げます。
原著論文はこちら
https://www.jstage.jst.go.jp/article/plantbiotechnology/advpub/0/advpub_22.0312a/_article/-char/ja