ソラマメの寄生植物に対するトランスクリプトームについてPLOS ONE誌に論文が掲載されました

寄生植物(Orobanche foetida)によるソラマメ(Vicia faba)の被害がチュニジアで問題となっています。今回チュニジアの研究者と共同で寄生植物に耐性を持つ系統と持たない系統を使って、寄生植物に感染された条件とされていない条件で、網羅的な遺伝子発現解析をしました。その結果、寄生植物に耐性を持つ系統は、ストリゴラクトン生合成経路の遺伝子発現の調整によって耐性を獲得していることがわかりました。

今回の論文は私にとって特に思い入れがある研究の一つです。第一著者のAmalとは2017年に知り合い、常に研究プロジェクトの進行を相談しながら進めてきました。2021年に寄生植物に関する集団遺伝学で論文を共同で発表しましたが、知り合った当初から着手していた研究が今回のトランスクリプトームの解析になります。着手してから7年もかかった研究です。その間、サンプル輸送の書類手続きから凍結乾燥サンプルを使ったRNA抽出、ノイズが多いデータのインフォマティクス解析、限られた実験環境での実証実験はとても大変でした。オンラインミーティングで何度も相談しました。Amalの博士号がかかった研究で、常にストレスが大きかったと思います。そのような状況でもAmalは諦めずによく頑張りました。忍耐強く常に何か打開策を見出そうとする強い心を持ち、そんな強い研究者と並走できたことは私にとって貴重な体験になりました。

原著論文はこちら:
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0301981


2017年にAmalが日本で実験をしていた頃の写真

チームリーダー
市橋 泰範
Yasunori Ichihashi